長崎市議会3月定例議会での反対討論
3月20日に長崎市議会の3月定例議会が閉会しました。最終日において、当初予算と野母崎病院関連予算の2本の議案に反対しましたので、その討論内容を掲載します。
格差社会の拡大は、国民の間に貧富の差を拡大し、なおかつ都市と地方の格差も拡大しています。国の医療費抑制策によって採算がとれない公的病院は廃止するという厚生労働省の方針がまかり通る時代です。
地方の医師不足も深刻になっています。必要な時に必要な医療が受けられない、そんな時代を迎えようとしています。
だからといって、手を拱いているばかりではダメです。自前で医師を養成したらどうでしょうか。その為には、市長は市民の命と健康を守るために公的医療を後退させてはならないという固い信念の持ち主でなければならないことは、申すまでもありません。
●中村すみ代の議会発言
第27号議案平成19年度長崎市一般会計予算に対する反対討論
全体的な予算編成方針に対する総括的な見解を先ず2点申し上げます。
1. 平成19年度予算は、平成16、17、18年度の過去3年間進められた国の三位一体改革により、地方交付税において約175億円という巨費が削減、税源移譲額は約50億円、補助金カットが約51億円という、長崎市のように自主財源に乏しく地方交付税に頼らざるを得ない自治体にとっては、厳しい財政運営を強いられた3ヵ年でした。
平成19年度から第2次改革がスタート、新型交付税の創設、また「税制改革」「財政改革」「行政改革」の名のもとに、国が進める「小さな政府」構想に従って、約33億円の地方交付税が削減される中で編成された予算を認めることは出来ません。
税源移譲によって地方の自主的・自律的な行財政運営が実現可能というのは、全く国の一方的な都合のいい言い分であって、地方は削減された分の捻出のために必死でやりくりをしなければならず、全く余裕はありません。
地方あっての都市ではないでしょうか。格差社会は地方と都市間の格差をも拡大しています。地方自治体は結束して、このような理不尽な国のやり方にもっともっと抵抗すべきです。
2. 市町村合併後の予算編成のあり方です。7町との合併後わずか2年しか経たないのに、合併後の新市一体化の掛け声のもと、早くも合併地区の切捨てが始まっていることです。
地域行政部の廃止・行政改革による60名の職員削減のうち20名が行政センター職員・広報ながさき「地域版」の廃止・合併協議の合意事項ではありますが「地域審議会」の廃止など、旧長崎市桜町に一極集中となる予算編成といえます。
役場が一層遠くなり衰退が加速しています。これでは、住民のみなさんの不満は高まるばかりで、合併地域の皆さんのサービスの低下を来たす予算を認めるわけにはいきません。
以上の基本的な立場を申し上げて、歳出における主な反対理由を述べます。
【1】住民基本台帳カード交付手数料・市民カード交付手数料
国民総背番号制につながり、個人情報保護の観点から住基ネットからの離脱を求めます交付手数料と接続のための諸経費との費用対効果の面からも税金のムダ使いです。
【2】扶助費ですが、生活保護制度が後退して、高齢加算・母子加算が廃止になるなど、憲法第25条の生存権保障の理念が空文化しており、福祉の切捨ては憲法違反と言わざるを得ません。
【3】長崎県南部広域水道企業団への出資金
本名川ダム建設と給水のための企業団の設置ですが、計画時点における人口動態の推移、節水型都市の構築、漏水防止対策などで新たな水源開発は必要ありません。まさに税金のムダ使いといえます。
【4】軍艦島整備事業費
長崎市が設置した「軍艦島保存活用技術検討委員会」に参考人として招致された、東京電機大学の阿久井名誉教授が提唱している、廃墟の美学の考え方に賛成です。報告書ではそのまとめの中に氏の考えを盛り込んでいます。
また、整備に当たっての基本的な考え方に、戦時中の中国・朝鮮人強制連行の歴史の事実を後世に残そうという視点が見られないことです。平成19年、20年度合わせて4億以上の予算をつぎ込むのであれば、合併地域の地域振興や、例えば、同じ近代化産業遺産の保存活用のために、池島・高島などの整備にも充当できるのではないでしょうか。
以上の理由を述べ反対の意見とします。
●中村すみ代の議会発言
第39号議案平成19年度長崎市病院事業会計予算に反対し、請願第2号長崎市野母崎病院の運営に関する請願書の採択に賛成の立場より意見を申し上げます。
長崎市立野母崎病院は野母崎地区の地域医療の拠点病院として、市町村合併後も引き続き地区住民の命と健康を守るために診療活動が行われてきました。ところが、病院側は今年の1月に、突然、3月一杯で人工透析医療の廃止と療養病床の休止を決めました。
その理由は、退職予定の2名の医師の補充が出来ないというものでした。私は、この3月議会でこの問題を取り上げ質問しましたが、病院局としては、大学の医局に交渉する等努力したが、確保の見通しが立たないということで廃止と休止を決定したとの答弁がありました。
確かに全国的な医師不足で、しかも厚生労働省が2年前にスターとさせた臨床研修医制度は地方医師不足に拍車をかけたとは考えられますが、しかし、住民にとっては、命に関わる重大な問題であり廃止や休止を簡単に認めるわけにはいかないのです。
うがった見方をすれば、厚生労働省方針の公的医療の切り捨てに沿った、最初から縮小ありきの今回の方針ではなかったのかと疑念さえ持たざるを得ません。
この度の請願に対する全会派賛成という議会の意思や、地区住民の切実な要望に真摯に応えて、伊藤市長ならびに病院局長は今回の方針を撤回して、存続のために市民病院や成人病センターからの応援体制を含め必要な医師確保のために早急に取り組むべきと考えます。
従って、野母崎病院の診療を縮小することを前提にした予算を認めることは出来ません。また、このまま診療を継続し赤字が膨らんでいけば、市の内部からも赤字を理由に廃止の声がでないとも限りません。このような事態にならないよう、合併地区の公的医療の存続発展を長崎市の公的な地域医療政策の基本の1つにしながら、病院事業を推進していくことを強く要請して、反対の討論とします。
