新年度予算への反対討論
3月17日、長崎市議最終日の中村すみ代の新年度予算に対する反対討論です。討論原稿の掲載ですので、実際の発言と異なる部分がありますことをご了承下さい。

平成20年度長崎市一般会計予算に反対の立場で意見を申し上げます。
平成20年度予算は、田上市長就任以来のはじめての本格的予算であり、重点施策として「市民力」「職員力」を具体化するための組織的な整備、事業化に向けた予算措置などで田上色を打ちだし、世界遺産登録に向けた本格的な事業展開等に市長の前向きな、且つ意欲的な姿勢を感じます。しかし、市長自らが、その基本方針の中で、三位一体改革により削減された約170億円もの地方交付税をさして、復元するまでにはなっていないと述べていることに、長崎市財政のおかれている厳しさが表われているように思います。
今日、長崎市をはじめ地方自治体を苦しめている「聖域なき構造改革」以来の様々な「改革政治」の流れは、20年度においても変わることなく、むしろ地方自治体に対して財政・金融・行政改革の全ての分野で強化する方向にその流れを加速しているように思います。
具体的には、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の制定に端的に現れています。また、「公的資金繰上償還」は一見自治体が抱えている莫大な借金の有り難い負担軽減策のようでもありますが、そもそも莫大な借金をつくらせた国の責任にはほうかぶりして、市町村合併を実施し国に「財政健全化計画」を提出した自治体、つまり国の言うことを聞いた自治体には、利率6%以上の高利の公債費の元金のみ、しかも3年間に限るという極めて制限的なやり方で「アメ」を与え、合併しない自治体には、とことん苛め抜いて「ムチ」をうつ政策、つまり「アメ」と「ムチ」を使い分け地方自治体を懐柔しようとする政策なのです。この様な、国と地方自治体の関係を「地方分権」時代の対等平等な関係とはとてもいえません。屈辱的でさえあります。
一方「改革政治」は市民生活にも暗い影を落としています。税制改革によって、定率減税等が廃止され、今年度は65歳以上の年収125万円以下の老年者の非課税措置が完全に廃止されます。月額10万円で細々と生活している高齢者からも税金を取り上げるのですからひどい話です。まさに血も涙もない政治とはこのことではないでしょうか。
さらに、医療費抑制のための75歳以上の後期高齢者のあらたな医療保険制度により高齢者には負担増と受診抑制等が待ち構え、具合が悪くてもお医者さんにも満足にかかれない、後期高齢者医療保険制度が4月から導入されようとしています。
長崎市民の生活保護受給率は、年々増加し今や市民50人に一人は生活保護受給者、準要保護児童・生徒も増加、国民健康保険税をはじめ市営住宅家賃、上下水道料金、市民税等の滞納も増加しています。廃業に追い込まれている自営業者も増加し、農業は疲弊し耕作放棄地も増え続けています。今市民が長崎市政に求めているのは、生活の安定であり、将来への希望ではないでしょうか。
そのためには、新幹線や南部広域水道企業団等の大型プロジェクトを見直し、公的医療や保育所、幼稚園等において市の責任をきっちり果たすこと、すなわち憲法第25条生存権保障の理念を本市の福祉・医療・介護・教育行政に生かしていくこと、市場や商店街を元気にしていく商業政策の充実こそを、若くて、行動力のある田上市長に多くの市民は期待しているのではないでしょうか。
しかし、今年度予算でも、従来から緊急性のとぼしい不要不急の大型事業にメスを入れず、事業継続を前提に税金を投入し、一方では行政改革での人件費の約10億円削減や、責任の所在も不問に付したままで、長崎市土地開発公社の「塩漬け土地」長期保有によって生じる借金の肩代わりに、新市庁舎建設基金や財政調整基金を財源とした120億円もの長期貸付けを予算化する等到底市民には受け入れがたい内容の予算となっています。
以上20年度予算に対する基本的な見解を述べて、以下総務委員会所管を除く歳出部分で、生活困難にある多くの市民の立場に立って、主な反対の理由を述べます。

・ 第4次行政改革大綱に基づく、職員定数削減、休息時間の廃止等職員の労働強化につながるものであり、市民への良質なサービスの提供にも支障を来たします
・ 養護老人ホームをはじめとする老人福祉施設の民間移譲等による徹底した経費削減 給食費の値上げ、敬老祝い金の一部廃止等は福祉行政の後退であり、野母崎病院・琴海病院の医師不足や赤字を理由にした公的医療後退は、合併地区の市民の不安を増大させ、地域の衰退につながるものです。
・ 住民基本台帳ネットワーク関連では、個人情報保護やネットワーク構築における費用対効果に問題ありです。
・ 長崎県からの補助において、乳幼児福祉医療費補助率を2分の1から3分の1にカット、離島航路維持対策費の県負担が、前年度3分の2が2分の1にカットとなりいずれも長崎市が負担増となり、長崎市の財政圧迫要因ともなる長崎県が今回取った措置を認めることは出来ません。
・ 在外被爆者対策ですが、差別的な在外被爆者行政が司法の場で裁かれ、その違法性が次々に明らかになり、後手後手で小出しの改善がすすめられてきました。本市も被爆都市としての主体性がないまま国の差別的援護行政に追随して救済を遅らせてきました。責任は重大です。また、今もって、手帳申請の際の来日要件を課していることは、高齢化する在外被爆者をさらに苦しめるものであり、北朝鮮在住の被爆者対策も国交がないということで放置され続けています。長崎市は、来日要件の撤廃や、北朝鮮在住の被爆者の救済を国に促す意味からも、今まで以上にリーダーシップを発揮すべきで、特に、北朝鮮在住の被爆者の実態調査のために長崎市独自の予算をつけて、職員派遣等を実施すべきと考えます。市長は5月の中国・韓国を訪問時にあわせて、韓国在住の韓国人被爆者の皆さんと面談して謝罪されるとのことですが、約900人とも言われる北朝鮮被爆者の救済にも取り組んでください。こうしてはじめて、被爆都市長崎市の被爆者援護行政は「本物」といえるのではないでしょうか。
最後に、財政再建の方法は、国民犠牲・地方自治体切捨てではなく、方法は他にも十分あります。具体的に申し上げます。
(1)この10数年間引き下げられ続けている法人税の税率をもとに戻す、(2)軍事費の削減、イージス艦1機1,400億円、(我国には6機あり)(3)1兆ドルといわれる莫大な額アメリカ国債を我国は購入していますが、その一部でも売却すれば財源は十分捻出できるはずです、にもかかわらずこれらには手を付けようとはしません。
国民生活を犠牲にしてアメリカ経済を支える、この様な矛盾した経済政策がまかり通っています。私は、田上市長には中核市市長会の会長として、地方交付税制度をもとに戻し、地方自治の危機打開のために先頭に立って「改革政治」を正していただきたいということを申し上げ、反対討論を終わります。
